一、 はじめに 周知の通り、会社(有限責任公司)という制度の基本は、法人格の独立性及び株主の有限責任にあります。すなわち、会社は、株主の財産と一線を画す自らの財産をもって、主体的に第三者に対し責任を負い、株主は出資額を限度として会社の責任を負うが、会社の債権者に対し直接責任を負わない、という原則です。 しかしながら、中国ビジネスの実務において、株主が会社の独立とした法人格及びその有限責任を悪用して、これらを盾に、会社の債権者への返済義務から逃れることは、決して珍しいことではありません。株主の有限責任と債権者の利益との間のバランスを取るために、中国会社法の第20条第3項は、そのような場合に、債権…