石造り甘露台 寿命薬 甘露がふる 中山みき 凡そ人として自分の生命が、一日でも長く此の世にある様に、願はぬ人はないのであります。死を望んいる仏教の信者でも、さて今死なねばならぬ時は、必ず死を恐れて医者に治癒せられんことを欲するのであります。これは単に人間ばかりではなく、生物全体が有する本能であります。それならこそ虫でも獣でも、死を恐れて逃げ走るのであります。 斯様な訳でありますから、もしここに人間の生命が、確かに全うせられる、即ち百十五歳の定命が与えれるという様な事が、事実の上に現れて来たならば、誰一人としてそれを欲せぬ者はないのであります。必ず我先にと走って、その薬を得んと欲するのは、病院へ…