東京都議選の横断幕が掲げられた東京都庁=東京都新宿区(梶山裕生撮影) 浮世絵が誕生したのは1660(万治3)年ごろといわれる。はじめのうちは墨一色だった。色ごとに版木を彫って刷る「多色摺(ず)り」が登場するのは18世紀の中ごろである。それぞれの版木には、右隅に直角の溝が彫られていた。 ▼紙の位置を定める目印で「見当」という。これが発明されたことにより、多色摺りの鮮やかな錦絵が生まれた。ただし、溝の位置がずれると絵は台無しになる。見当をつける。見当が外れる。使い慣れた表現は、「見当」本来の役目を思えば響き以上に重たい意味を帯びている。 ▼選挙の季節を迎え、永田町からは「給付だ」「減税だ」と耳をく…