暖簾をくぐり、ドアを開けると、視野に入るのは、四人掛けの簡易テーブルとイスが置かれた「食堂」という世界。壁には、料理名を書いた紙がいくつも貼られています。どれを注文しようかと考えていると、香ばしさに、思わずお腹が鳴りそうになることも……。食べ物を提供するのは同じでも、「食堂」という名のついたところは、レストランとはまた異なった雰囲気に溢れています。ユニークさではけっして負けない食堂もまた、たくさん存在しているのです。今回は、「町の定食屋」「社員食堂」「子ども食堂」という三つのタイプの食堂を素材にした作品を紹介します。「食堂を扱った作品」の第一弾は、「町の定食屋」を扱った山口恵以子『食堂のおばち…