『書架の探偵』の続編にあたるSFミステリです。主人公は前作と同様に、生前は推理作家であったE・A・スミス。オリジナルの人格と記憶を継承して複製された彼はクローンであって、単なる記憶媒体ではありません。呼吸も食事も排泄もセックスもする生きた人間であり、独立したアイデンティティを有しています。それでも彼の身分は図書館の蔵書と同じなのです。書架に居場所を与えられて利用者に貸し出されることを待ち望み、利用頻度が低下すれば焼却処分が待ち受けています。いわばテクノロジーが産み落とした奴隷といえるでしょう。そのあたりは前作よりも踏み込んだ記述がされています。 今回スミスは、同じ境遇の料理本作家リリーとロマン…