福岡城址の近くの牡丹・芍薬園の芍薬が見事だという話を少し前に聞いていたので、出かけてきました。花園全体はもう盛りを過ぎており、人影もだいぶ少なくなっていましたが、白い芍薬のいくつかが、なお静かな美しさを保っています。 名残りの芍薬、といった風情です。芍薬の花を惜しむといえば、小野小町の「百夜通い」の伝説を思い出します。三十六歳になった小町が都から郷里へ戻ると、思いを寄せていた深草少将が後を追うように移り住み、恋文を送り続けました。やがて届いた小町からの返事には、「庭で大切に育てていた芍薬が少なくなったので、毎夜一株ずつ植え、百株になったなら契りを交わしましょう」と記されていたといいます。少将は…