『光の中を歩む子ら』の《手をつなぐ子供たち》に、友人から招待されて出かけた温泉場でのエピソードがある。 「先生、ここのはけ口で小便していい?」「こんな所で無作法です。便所へ行ってきなさい」 幸男は裸のまま便所へ行ったのだが、このやりとりがたまたま入浴中の足利市の盲唖学校の校長、先生方の耳に入った。 「この二人は単なる先生と児童の関係ではない。さりとて家庭教師でもないらしい」 宿の主人から事情を聞き、品川さんに面会し、学校へ招待したのだった。遠足気分、心はずませ足利市に向った子どもたちだった。 講堂にはヘレンケラー女史の大きな写真、生徒たちの心尽くしのご馳走が並び、所々には美しい花が生けられてい…