南阿戦争の期間中、英軍は補給に一計を案じた。 真空乾燥器の活用である。 蔬菜類をこの機械にぶち込んで、水分という水分を除去、体積の大幅な縮小と長期保存に便ならしめた代物を、前線めがけてどっと送り込んだのだ。 (Wikipediaより、ボーア戦争) 今で云うフリーズドライ製法である。 技術自体は数十年前、一八五〇年代初頭(あたま)ごろ、とあるドイツ人科学者の手で既に確立されていた。 だがしかし、それをここまで大々的に、実際の場で用いた例は嘗てなく、南阿戦争の英軍を以って濫觴とする。 時代に先駆ける着眼点――「英国面」の一環と分類していいだろう。 現地での評判は上々だった。 スープを注げばたちまち…