社会恐怖(=社会不安障害,以下SADと略す)患者は人前で恥ずかしい思いをするのではないかと過剰に心配し、日常生活のさまざまな場面で支障が生じている。紅潮、発汗、震え、動悸、どもり、吃音、消化器症状などの種々の身体症状を伴うことも多く、学業、就職、婚姻などの社会生活に困難を抱えている。
発症年齢は低く平均15歳前後であり、より早期の発症もみられる。25歳以降の発症は少ない。欧米での大規模な疫学調査では、SADの生涯有病率は7-13%と不安障害の中では最も発現頻度が高い。
日本では「対人恐怖」「森田神経質」という概念が古くから知られ、森田学派を中心に膨大な研究と治療が行われてきた。対人恐怖、SAD、回避性人格障害は類似した概念であり、しばしば異同が議論される。不登校やひきこもりとSADが関連しているという意見もある。
*1:現在、マレイン酸フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)については、効能・効果に「社会不安障害」が追加されている。