歩道の脇に、数えきれないほどのどんぐりが落ちていた。”どんぐりって秋だよなぁ”と素朴な疑問を抱いた翌日には、もう落ち葉と共に一掃されていた。制服を着た学生と保護者の二人組とすれ違う。ここのところ、よく見かける光景だ。恐らく、受験生だろう。 五十年も生きてきたと言えば、何か一つぐらいは武勇伝が語れそうだが、何もない。長い人生経験と言えるかもしれないが、たった五十回、春夏秋冬を巡っただけだ。しかし、その間に、学生だった私は受験を経験し、母となった私は息子と娘の受験も経験した。 先日、短大の友達から電話があった。互いに「十年ぶり?かな?」なんて言ったけど、適当だと思う。 彼女とは、新年の挨拶をグルー…