第9章 私は真っ暗な密林の中にいた。闇に締め付けられ、息苦しさすら感じる時もある。漆黒よりも黒く、暗黒よりも暗い闇。それは恐怖をもたらし、恐怖は人の奥底に潜む狂気を目覚めさす。 深夜3時。べトコンが2度目の奇襲攻撃をしかけてきた。奴らはキャンプの周囲にはりめぐらした鉄条網を突破し、一気になだれ込んできた。 一瞬、真っ白い光に包まれた。光はたちまち闇に呑みこまれる。 私は闇に向けてやみくもに撃った。姿の見えない敵に向かって、あたってくれと祈りながら、ただひたすら撃ち続けた。弾の飛ぶ音が次第に大きくなってくる。敵はすぐ近くにいる。グレネードと迫撃砲がすぐ近くで炸裂する。オレンジと黄色と白の強烈な光…