大東亜戦争の真っ只中に陸軍将校が書いた本を読んでいる。 昭和十七年、大場弥平著『われ等の新兵器』が、すなわちそれ(・・)だ。 表紙を捲ってものの十秒、早くも序文の段階で、 「竹槍」 の二文字が目に入り、わけもなく苦笑させられた。 (Wikipediaより、竹槍訓練) この農民兵器の名称は、本文中にも折々顔をのぞかせる。曰く「戦略いかに奇想天外でも、兵器にして竹槍同然ならば、相手の新兵器が発揮する電撃的殲滅力の前に、たちまち打ちのめされてしまふ」、曰く「もう世の中は、兵器の威力戦時代となった。兵器の精鋭度を考ふることなしに戦勝は考へられなくなった。一国のもってゐる科学の争覇戦時代となったのだ。(…