訓読 >>> 543大君(おほきみ)の 行幸(みゆき)のまにま もののふの 八十伴(やそとも)の男(を)と 出(い)でて行(ゆ)きし 愛(うるは)し夫(づま)は 天飛(あまと)ぶや 軽(かる)の道(みち)より 玉たすき 畝傍(うねび)を見つつ あさもよし 紀伊路(きぢ)に入り立ち 真土山(まつちやま) 越ゆらむ君は 黄葉(もみちば)の 散り飛ぶ見つつ にきびにし 我(わ)れは思はず 草枕(くさまくら) 旅をよろしと 思ひつつ 君はあるらむと あそそには かつは知れども しかすがに 黙(もだ)もえあらねば 我(わ)が背子(せこ)が 行きのまにまに 追はむとは 千度(ちたび)思へど たわやめの 我…