芸術学部の入構口を進むと、守衛所脇の芝生の上に、岩石と木の板と、一部補助材としての鉄を使った、モユニュメントが立っている。題は『挑発しあうかたち Ⅱ』、一九七五年の作品だ。作者土谷武(つちたに たけし)はすでに他界されたが、美術学科彫刻コースの教授だったかただ。 人工的に打ち出した丈高い岩石の頂上から、緩い昇り傾斜の板が、長く長くさし上げられてあった。作者によって想定された最初の局面だ。 ある時そこへ、巨大な自然石が落下してきた。運悪く板に命中した。弾力不足だった板はたわみに耐えかね、途中からバキリと折れた。折れた先は落下石の重量に持ってゆかれ、地に落ちた。作者によって展開された物語だ。 結果…