人里離れた場所にひとりで暮らす生活に憧れる。昔のことになるが『独りだけのウィルダーネス』という本を読んでその気になり、北欧製のキットを買って近隣の山中に丸太小屋を建てたことがある。休日にバルコニーで読書したり、石を組んだ炉で焚火をしたり、愉しいときを過ごしたが、豪雨による土砂崩れで道が不通になり、足が遠のいた。何年かして道が通じたので行ってみたが、扉の鍵が錆びて開かなくなっていた。 手入れして使えないこともないが、今となっては体力がない。そんなわけで、近頃は本を読むことで憧れを満たすことにしている。最近読んだものでは『結ばれたロープ』『ある一生』『帰れない山』などがお気に入り。『フォンターネ …