日嶽 1.火(肥)国から肥後国への変遷 肥前風土記の冒頭に、火国の国名の由来について、異なった二話が載せられている。第一話が日本書紀(景行天皇)と同様な、海上に現れた怪火現象(不知火)によものに対し、第二話では陸上での怪火現象が国名の由来となっている。ところで、肥後の豪族である火君の説明に、肥前風土記の記事を引用するのは、肥後風土記が既に紛失し存在せず、そのため、かつて火国を構成していた肥前国の風土記からの引用となっているのである。 そこで、第二話の陸上に現れた怪火について、肥前で記された肥前風土記を見ると、『肥前国(佐賀・長崎県)と肥後国(熊本県)は、元は一つの国であった。崇神天皇の治世に、…