【源氏物語704 第22帖 玉鬘4】 妙齢になった姫君の容貌は母の夕顔よりも美しかった。 父親のほうの筋によるのか、 気高い美がこの人には備わっていた、 性質も貴女《きじょ》らしくおおようであった。 故人の少弐の家に美しい娘のいる噂《うわさ》を聞いて、 好色な地方人などが幾人《いくたり》も結婚を申し込んだり、 手紙を送って来たりする。 失敬なことであるとも、 とんでもないことであるとも思って、 だれ一人これに好意を持ってやる者はなかった。 「容貌はまず無難でも、 不具なところが身体《からだ》にある孫ですから、 結婚はさせずに尼にして自分の生きている間は手もとへ置く」 乳母《めのと》はこんなこと…