稲盛和夫さんの著書「生き方」(サンマーク出版 2004年)を拝読しました。著者は、神仏への信仰があつい方です。 1997年、著者は得度(僧侶になること)をなさいました。短期間ですが、初冬の肌寒い時期に托鉢(たくはつ)の修行に励まれました。ワラジからはみ出した足の指がこすれて血がにじみ、その痛みをこらえて半日も歩けば、使い古しの雑巾のようにくたびれてしまいます。 疲れきった身体を引きずり、お寺に帰る途中、公園にさしかかりました。その公園を清掃していた作業服姿の老婦人が、片手にほうきを持ったまま著者のところにやってきました。老婦人は、あたかも当然の行為であるかのように、そっと五百円玉を著者の頭陀袋…