エミール・ゾラによって理論化され、19世紀末、フランスを中心に起こった文学運動。自然の事実を観察し、実験的展開を持つ小説のなかに、自然とその法則の作用、遺伝と社会環境の因果律の影響下にある人間を描き見出そうとする。ようするに、人間を「科学的に」とらえようとした。日本でも、島崎藤村、田山花袋がこの文芸潮流の洗礼を受けたが、田山花袋の「蒲団」は、本来いう自然主義からは相当に隔たっていて、自然主義文学は、日本では誤解されるに至る。
明治から大正にかけての異端児的文学者、岩野泡鳴(明治6年<1873年>~大正9年<1920年>)の小説『耽溺』(明治42年)と『毒薬を飲む女』(大正3年)を読んだ(講談社文芸文庫)。泡鳴の作品は昔から一度読んでみたかったのだが機会がなく、これが初読。 救済がないけどおもしろい『耽溺』『毒薬を飲む女』 どちらの作品も泡鳴自身をモデルにした小説家が主人公で、ジャンルでいえば「私小説」ということになる。ただ普通に自分をモデルにして書いたというだけではなく、かなり露悪的な書き方だ。文庫の後ろに泡鳴の簡単な伝記がついているのだが、彼は女性にだらしなく、家庭をもちながら次々に別の女性に手を出して、家庭関係…
エミール・ゾラ(Émile Zola,1840年4月2日 - 1902年9月29日)出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons) エミール・ゾラについて、ウィキペディアより引用する。 エミール・ゾラ(フランス語: Émile Zola、1840年4月2日 - 1902年9月29日)は、フランスの小説家。 自然主義文学の定義者であり、代表的存在でもあった。代表作品は全20作から成るルーゴン・マッカール叢書で、著名作は『ジェルミナール』『居酒屋』『ナナ』。 生涯ヴェネツィア出身の技術者である父とフランス人の母との間の1人息子として、1840年にパリのサン=ジョゼフ街(fr…
背筋がゾクッとする怪談は夏の楽しみの一つだ。 ところが、明治期の寄席では廃れたという。幽霊は前近代的、非科学的だというのだろう。 「開化先生方はお嫌ひなさる事でございます」。 三遊亭円朝が創作した怪談噺(ばなし)「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)」の冒頭で語る ▲なぜ幽霊は現れるのか。 円朝は、殺しや盗みなど悪事を働いた者の「若(も)しや己(おれ)を怨(うら)んで居やアしないか」とおびえる神経が、幽霊を見せるのだと説く。「真景」は「神経」のもじりだ 引用毎日新聞コラム 余録 さて、文学の世界では… 明治期の落語が、このような状況だったとは知りませんでした。ですがそれは文学の世界も同様で、明治…