お茶の稽古のなかで、「茶杓の銘」についての問答があります。その季節や道具のあしらいに合わせた「銘」を茶杓につけて、会話に織り込むのです。 5月ならば「薫風」や「早乙女」などが無難なところですが、もっと気の利いた銘を付けようとするとネット検索に頼ることになります。検索で出てきた5月の銘のなかに「落とし文」がありました。 恋文を道端に落としておいて、相手に届けと祈るように待つのが「落とし文」で、これがなぜ5月の銘なのか不思議でした。さらにネット検索を続けると、次のような説明が載っていて、やや拍子抜けする思いがしました。栗や桜などの広葉樹の葉を丸く巻いて、そのなかに卵を産み付ける昆虫がおり、その巻い…