「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 270.表面に〈さとなか歯科〉と刻まれて水星軌道を漂うやかん (笹井宏之) この歌を初めて知ったのは歌集『えーえんとくちから』を読んだときです。やかんが水星軌道を漂うさまを幻視したのを覚えています。 しかし、最近になって人とたわいない会話をしていたときに、『夜間飛行』を『薬缶飛行』と聞き間違えられ、この歌をとっさに思い出しました。あの「やかん」って、なんの疑いもなく「薬缶」と思い込んでいたけれど、「夜間」の可能性もあるのではないだろうか。 いや、もちろん、「刻まれて~~やかん」なんだから、やかんの表面に〈さとなか歯科〉…