一条真也です。たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「葬」です。 『唯葬論――なぜ人間は死者を想うのか』(三五館) 平成27年8月15日は70回目の「終戦の日」でした。日本人だけでじつに310万人もの方々が亡くなられた、あの悪夢のような戦争が終わって70年目の節目です。70年間における日本の変貌は著しいですが、最大の変化は日本人が「死者を軽んじる民族」になってしまったことではないかと思います。この年、わたしは、万感の想いをこめて『唯葬論』(…