お大師堂前には、大きな藁囲い。 先を争っての初詣には興味がない。「怠け者の節句働き」という例えもあるが、ふだん寄りつきもしない癖にこんな時ばかり熱心な振りをしてみたところで、どうなるものでもあるまい。弘法さまにも仏たちにも、事態は丸見えにちがいない。ご利益なんぞたかが知れたもんだろう。 かといって、暮れにご挨拶を兼ねて墓詣りにに伺ったから新年はよかろうというのも、いかにも手抜きと思える。「一夜明ければ別の年」と「新年なんぞと云ったところで、しょせん大晦日の明日」とは、ともに反面づつの真理だ。となれば、無理なきよう目立たぬように、控えめな初詣りを済ませるのが無難というものだ。幸い好天に恵まれたの…