主人の命日の夕食時。 彼がいつも座っていた席に少しワインを注いだグラスを置き、子供達と彼との思い出話に花を咲かせていると、外でゴロゴロと雷が鳴りだした。 雨を呼べるという彼の自慢話をよく聞かされていた私たちは納得顔で、 「あ~来た来た。パパだねぇ。」と冗談気味にうなずき合っていると、庭に面した窓から見える空がピカッと光った。 「お~!」と皆で歓声を上げると、娘が写真を撮ると携帯を引っ掴み、小走りで玄関に向かった。空は嵐の前の装いで少しオレンジ色がかっていたけれど、ピカッからゴロゴロまでの時間はまだ長くて雷が落ちる心配はないと判断し、私も娘の後に続いて庭に出た。すでに大粒の雨がポタポタと落ち始め…