戦後の冤罪事件を調べたことのある人なら、古畑種基と次の記事で紹介する紅林麻雄は嫌でも記憶に残るでしょう。 日本の冤罪事件がどれほどあるか私は知りませんが、世間で知られるほどの冤罪事件になれば明治から数えても100に満たないでしょう。そのうち一人の人間が関われる数となると、せいぜい数件に過ぎないはずです。それにもかかわらず、古畑の誤りが引き起こした事件は裁判で後に無罪と認められた稀な例だけで4件に及びます。 古畑は法医学の天皇との異名を持つ人物で、血液型のA因子とB因子に対してO因子は劣性であることを証明しています。その業績の価値は私も認めますが、血液鑑定に関しては問題のある結果を続出させていま…