納涼歌舞伎の一部を観劇。猿之助不在乍ら、ほぼ満員の入り。中でも幸四郎は三部全てに出演する大車輪の活躍で、猿之助の穴を埋めるべく奮闘していた。この酷暑の中、齢五十を超えて若くはない幸四郎、体力的にも厳しいものがあるであろう。身体にだけはくれぐれも気をつけて頑張って貰いたいと、心から思う次第。 幕開きは『裸道中』。昭和を代表する劇作家長谷川伸の弟子谷屋充の作で、元は新国劇。それを初めて歌舞伎化した狂言だ。次郎長物は、講談や浪曲のネタの宝庫。筆者的には何と云っても広沢虎造で耳馴染みがある。今回はその数多い次郎長物の中の所謂「名古屋の御難」の部分の話。これから次郎長女房お蝶が死に、名高い「お蝶の焼香場…