宇佐美まこと氏によるホラー小説『角の生えた帽子』の感想。 じわじわと心を侵食する怖さが魅力の12編からなるホラー短編集です。 道端にこんな人形置いてあったらショック死する自信ある。 この作者さんは背景描写に臨場感があるため、まるで自分がその場にいるかのような感覚に陥(おちい)ります。 物理的な攻撃を仕掛けてくる霊とか、殺人鬼が潜む館でのデスゲームとかはありませんが、日常に潜む仄暗い感情を描くのがとても上手な作家さんです。 特に印象に残ったのは「城山界隈奇譚」。 作者の出生地・松山を舞台にした作品です。この話、一見ほっこり系かと思いきや、後半で一気に不気味な展開に変わるのです。 物語は、図書館司…