あやつられ文楽鑑賞 (双葉文庫)作者:三浦しをん双葉社Amazon■小説『仏果を得ず』の前に書かれたエッセイが後に文庫化されたもの。三浦しをんの鋭い観察と、妄想的な考察が綾をなして、読み応えがあるし、文楽に関するこういう自由な研究ってないので、貴重で面白いよね。■ちなみに『女殺油地獄』の与兵衛の「豊島屋油店の段」での心理の流れとしては、とりあえず切羽詰まって最悪自害することも考えながら、それでも何かあれば、そのときにはというお守り的な気持ちで脇差しを懐に呑んでいたのだと思う。何しろ、不良なので。豊島屋にやってきた父母の話を聞いて、涙を流したというのは実は口だけのことで、内心では、「ふん、とんだ…