------講義録始め------ ここからは、3つ目のテーマである財産分与についてお話ししたいと思います。民法762条1項は、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産および婚姻中に自己の名で得た財産は、その特有財産とする」と規定しています。つまり、民法は夫婦別産制を採用しており、自己の名で得た財産はそれぞれのものとなります。しかしながら、夫婦は互いに協力し合って生活していますので、同居中に夫婦の一方が自己の名で財産を得たとしても、そこに他方の貢献がある場合には、実質的に夫婦の共有財産であると考えるべきです。 例えば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、給与は夫の名で得るものの、妻は家事労働に従事して夫…