-----講義録始め------ もう1つは、労働者の私的自由に関する論点があります。男性職員の髪型、髭を禁止とする規律が有効であるかどうかが争われた事案として、郵便事業身だしなみ基準事件があります。これは、髪型と髭を一律に禁止というルールを設定したという事案です。これを守らず、髪型と髭で勤めていた男性職員に対して、人事評価においてマイナス評価とし、賃金カット等の不利益を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償を求めたというのがこの事案になります。大阪高裁は、請求を一部認め、次のように述べています。使用者が事業の円滑な遂行上必要かつ合理的な範囲内で身だしなみについて制約を加えることは、例えば、労…