支那劇は歌劇 オペラ である 支那劇の研究 在大連 近森出來治 支那では芝居のことを戲子 シーツ と云ふ、子 ツ は附けたりで戲 シー が芝居の意である、支那人は芝居に行くのに見に行くではなくて聽きに行くのであると云ふ心から日本で云へば觀劇といふ所を聽戲 チンシー と云ふ、日本人の考からすると「變だ」「なぜだろ」と云ひたくなる、そこで其聽戲と云ふ所以を少しばかり述べて見やう。 支那演劇は西洋で云ふオペラで唱歌を本位として歌謠に重きをおいたものである、オペラは日本では歌劇と譯して居るが支那劇は其歌劇である、日本の芝居はそれに用ふる音樂よりは所作卽ち科 シグサ の方が非常に重んぜられてゐるが支那の…