🍁【源氏物語229 第十帖 賢木41】紫の上は一段と美しくなっている。源氏は山から折って帰った紅葉を御所においでの中宮に贈った。 〜夫人は幾日かのうちに一段ときれいになったように思われた。 高雅に落ち着いている中に、 源氏の愛を不安がる様子の見えるのが可憐であった。 幾人かの人を思う幾つかの煩悶《はんもん》は外へ出て、 この人の目につくほどのことがあったのであろう、 「色変はる」というような歌を 詠んできたのではないかと哀れに思って、 源氏は常よりも強い愛を夫人に感じた。 山から折って帰った紅葉は庭のに比べると すぐれて紅《あか》くきれいであったから、 それを、長く何とも手紙を書かないでいるこ…