Day7|マウンドに立てなかった僕へ ">地方大会の決勝、ギリギリの展開をものにして── 僕たちは、甲子園への切符を手に入れた。 あの日のスタンドの景色は、今も目に焼きついてる。 甲子園に入ってからも、チームは勝ち進んだ。 苦しい試合も、最後まであきらめなかった。 そして、ついに迎えた決勝戦。 9回裏。 1点リード。 あと、アウトひとつ。 マウンドには、同級生の西。 キャッチャーの柴山が、最後のサインを出す。 僕は、スタンドの最前列で祈っていた。 声はもう枯れて、出なかった。 そして── 投げた、速球。 バットが振り抜かれる音と同時に、 白球は鋭くレフト方向へ。 「抜けた」 一瞬、誰もがそう思…