他のリスクとしては、不動産名義を母親にしておいたがゆえに、母親が認知症になってしまい後見人をたてない限りは、不動産売買が出来ず介護費用が捻出できないということも考えられます。 ただ高齢になって配偶者に先だたれると不安になるという母親の気持ちもよくわかります。せめて資産をしっかりもって生活していきたい気持ちから自身が承継しておきたいとおもうのももっともです。 このあたりも含めて相続人間できっちり話合いを進めておきましょう。
子供たちにとっても2次相続で遺産を受け取ることができますし、母親のこれからの生活費、相続税の控除の有利さから考えても間違いはないようにも思えます。 ただ結論的にそうなったとしても、第一次相続ではしっかり家族で話し合い納得したうえで行うことが大切です。遺産が多い場合シュミレーションしてみると二次相続で高額の相続税を支払わないといけない場合もありますので、場合によると一次相続で子供たちにも分割しておいた方が良いことも有り得ます。
よくあるケースとして、家族5人 父親 母親 長男 次男 長女がいて父親が最初に亡くなり初めての相続を行う場合どうするかというところは結構悩むところです。 父親が亡くなって発生する相続を一次相続、そして母親が亡くなるのを2次相続と呼んだりします。この場合 一次相続で本来法定相続分で分割すると母親二分の一、子供たちで残り二分の一を分け合うという事になりますが、実際遺産の大部分が現在母親の居住している家であったり、遺産総額がそれほど多くない場合は、母親がすべて相続するというケースも多いようです。
遺産分割協議書の最後のところには、「本書記載の遺産以外の財産が発見された場合は、○○が取得する。」等の包括的な一文は入れておいた方が良いと思われます。もちろん改めて遺産分割協議をするでも構いません。 遺産分割協議書が完成した後は、それの実行になります。銀行解約手続きや不動産の売買、株式の名義変更など。このあたり手際よく進めていかないと思ったよりも多くの時間を費やすことも有ります。場合によれば、こういった相続手続業務全般を士業の専門家に振るという事も検討していただくのもアリかと思います。
遺産分割協議書の内容ですが、不動産については登記情報を正確に記載することが必要です。ここに不備があると登記できないことも有ります。 預貯金や株式に関しては、各金融機関ごとにこの遺産分割協議書の取り扱いが違います。遺産分割協議書があっても各相続人からの印鑑が必要であったりしますので、事前に確認しておくほうが良いでしょう。
最初にお話ししたとおり、遺産分割協議書は法律的に定められた形式、書式があるわけではありません。ただいろいろな遺産処分に使用する重要な書類ですので、間違いや漏れは許されません。 相続人の数と同じ遺産分割協議書を用意し、それぞれに相続人が実印で押印、署名、印鑑登録証明書(3カ月以内)を添付します。複数枚になる場合は契印もしくは製本します。
もう一つと遺産分割協議に必要なものとして、財産目録があります。遺産として何が存在するのか、できるだけ正確に洗い出しておくことです。 不動産については、全部事項証明書、固定資産税評価証明書 預貯金については通帳・残高証明書などを準備しておきましょう。 大きなものが漏れていたりすると再度 協議をしなくてはいけなくなったりします。
では遺産分割協議書をつくる方法を見ていきたいと思います。まずはいろいろな手続にも必要になるものですが、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を集めましょう。本来は遺産分割協議を始める前に行っておきたい所ですが、相続人の特定のためです。相続人は兄弟 二人と思っていたが調べてみると認知していた子がいた、30年前に別れた妻との間に子がいたなんて言う事実が発覚するとその遺産分割協議は、原則やり直しです。 そうならないためにも戸籍の確認は重要です。
遺産分割協議書の作成ですが、その前にお父さんの遺言書がないかどうかの確認はするようにお願いします。遺言者の存在は遺産分割協議に優先します。 相続人全員と受贈者全員が遺言書内容を拒否し、遺産分割協議に同意すれば成立しますが、そうでない場合遺言書がでてくれば遺産分割協議書は無効となります。そもそも相続人受贈者の誰かに有利にかかれた遺言書を全員で拒否するということはよっぽどのことが無い限り成立しにくいお話です。
遺産分割協議書を利用する手続きとしては、 銀行の解約手続き、不動産売買の手続き、相続税の納付手続き、自動車の名義変更、株式の名義変更などなど どれも手続きに利用する相手先はお堅いところばかりです。不備を指摘されるとそう簡単には融通してくれません。自分で作成したとしても専門家のチェックを受けるなどしたほうがよいと思います。