上田閑照は「非神秘主義―禅とエックハルト」の冒頭でこう述べる。 (『聖なるもの』(1917)の著者、ルードルフ・)オットーが、ヴェーダーンタ神秘主義に比して特に禅にエックハルトとの親近性を見たのは、この両者に、停まることなき或る独特な無窮の動性、すなわち禅においてはどこまでいっても限りなく「上に向かって開かれて」いる開放性(des Nach-oben-Offene)、エックハルトにおいては「魂の根底」に働く「内に向かっての無限性」(Unendichkeit nach Innen)を感知したからであった。 (引用中、太字は引用者による追加) 考え方の傾向に、名前をつけること、つまり”禅”や”神秘…