スマートフォンを家に忘れて外出すると落ち着かないものだが、今日はその忘れ物のせいで褒められたのだった。 朝にお弁当を用意できず、お昼を外で食べることにした時のことだ。料理を待っている間も食べる前も、もちろん食べている時も、スマホを出さなかった。そのことを店主が「今どき珍しい」と褒めてくれたのだ。もちろん僕は「いいえ。スマートフォンを忘れただけです。すごく手持ち無沙汰でした」とは言わない。99%再訪しない店に、残酷な真実を突きつけても誰も幸せにはなれない。店主に「"スマホに縛られない殊勝な中年男性"が来店した」それだけの幻想を残したほうが気分よく働けるはずだ。これは所謂、優しい嘘である。 ちなみ…