石破政権が誕生し、衆議院は解散へ。米国では大統領選挙のキャンペーンが進行中。その日米の政治的空白を突いて、中国が台湾海峡で事を起こそうとしている。2024年の、まさに「今」が舞台とも言える小説。著者の数多久遠は元幹部自衛官。その作品は、ほぼ全部読んでいる。日中の新型潜水艦が尖閣や東シナ海で戦う「深淵の覇者」など、ハイテク軍事スリラーともいえる作品が多い。また航空自衛隊の女性副官の日常を描いた「副官斑尾玲於奈」シリーズも、従来に無い切り口で描かれた「平和時の自衛隊」が新鮮だ。著者の作品には、自衛官時代の経験に基づく、僕たち一般人とは違う意識や感覚が描かれていて興味深い。 あらすじ202X年、アメ…