もし、最愛の人が自分ひとりを残して突然、向こうの世界に旅立ってしまったら…。悲しみがそうたやすく癒えることはないだろう。 しかし、悲しみに暮れるだけでなく、あえて公の場で自分自身の心情を告白することで、一歩を踏み出すためにもがいてみる。 そんな忘れられない記者会見が、98年2月26日の宮本信子のそれだったように思う。 夫である伊丹十三監督が衝撃的な飛び降り、という形で命を絶ったのは、前年12月20日である。 それから2カ月間、いっさい公の場に出ることのなかった彼女が、テレビ東京のドラマ「飛んで火にいる春の嫁」(4月15日放送)に出演することになり、共演者の小林桂樹や田中好子らと、制作発表会見に…