これだけの美貌《びぼう》が備わっていても、 田舎風のやぼな様子が添っていたなら、 どんなにそれを玉の瑕《きず》だと惜しまれることであろう、 よくもこれほどりっぱな貴女にお育ちになったものであると、 右近は少弐未亡人に感謝したい心になった。 母の夕顔夫人はただ若々しくおおような 柔らかい感じの豊かな女性というにすぎなかった。 これは容姿に気高さのあるすぐれた姫君と見えるのであった。 右近はこれによって九州という所がよい所であるように思われたが、 また昔の朋輩《ほうばい》が皆 不恰好な女になっているのであったから 不思議でならなかった。 日が暮れると御堂に行き、 翌日はまた坊に帰って念誦《ねんず》…