自分を甘党の貧民階級と位置づけている。 和菓子に詳しくもないし、今後見識を深めたい気もない。ごく庶民的な甘党である。老舗菓子司の名菓に敬服する想いはあるけれども、執着はない。値段が五倍する菓子が五倍美味いとは限らぬと、わきまえているだけだ。大衆的商品を考案するメイカーの企画者や職人衆を、甘く視てもらっては困ると思っているだけだ。 和菓子とは、餡こをいただくものだと思っている。ただ餡こを匙で舐めるだけでは味気ないし、体裁もいかがと思えるから、工夫がある。餅で包めば大福だし、パンで包めばあんパンだ。粉で薄く覆って焼けば金鍔だし、パンケーキではさめば銅鑼焼だろう。葛で延して固めれば羊羹だ。つまりはい…