いま、香港について考えている。ここ最近の香港は、もう、かつて僕を惹きつけたような、欲望ギラギラの、自由で、活気に満ちた場所ではなくなりつつある。共産主義の中国へ返還された後も、行政特区として、高度な民主的自治を認められてきた香港だが、ここへきて、その民主が次々と弾圧されている。 香港独立のプラカードを持ち、街頭に立っただけで逮捕され、少しでも共産党政府を批判する書籍を販売すれば、書店の店主たちが次々と謎の失踪を遂げ、大学内で政治的集会を開くと、学生たちが拘留され、民主寄りの政治家はみな辞めさせられてしまった。ネットで香港独立と書いても駄目、新聞で共産党幹部を批判する記事を書くのも駄目、と、もう…