1997年に返還されてからも、香港は閉鎖的な中国に掛けられた架け橋であり、内情を窺い知る窓口であった。英語が通じ、香港ドルは国際通貨で、欧米の常識が通用した。しかし返還時に約束された「一国二制度」は、50年続くはずだったがその半分も経ないうちに事実上反故にされた(*1)。 議会はほぼ中国政府の意を汲んだ議員ばかりになり、中央からのガバナンスが強力に利くようになった。2020年には「国家安全維持法」が施行され、自由メディアは力を失った。市民の間に政府に対する不信/不満は高まっているだろうが、それを口に出すのは難しい。そんな中、先月に大規模修繕中の高層ビルが7棟も焼ける事件があった。行方不明者も含…