作家、翻訳家。
1961年、東京都生まれ。テンプル大学教養学部アメリカ研究学卒業。帰国後、創刊直後の雑誌『SWITCH』に参加、アメリカ現代作家へのインタビューを多数紹介。1992年に退社し、幻のデジタルラジオ局「セント・ギガ」のスタッフとして活動し、アメリカ文化についての著書など執筆。2004年には初めての小説「夜はもう明けている」を発表した。
2012年3月8日に、自宅にて遺体で発見された。
何事にも始まりはあるけど、音楽の源流ってどこにあるんですかね。ジャンルにもよると思うのですが、やはり自然の音なのでしょうか。風でそよぐ木々、川のせせらぎや滝の轟音。鳥のさえずりや、獣の雄たけび。誰が始めたのか、どこからが音楽なのか。境界線を引くのは難しいですが、今も聞かれている音楽のルーツを探るのは可能なのかも知れない。本書は著者が、ハワイアンやブルース、アイリッシュ音楽の源流を探る旅を、紀行文の形で著しています。 自分は音楽の知識にはとんと疎く、ほとんどポップスしか聞きません。あとは軽く部屋でYouTubeで聴けるジャズを流すくらい。そんな自分でも、著者の音楽の源流を探りそれを探し当て、現地…
夜はもう明けている駒沢敏器角川書店平成16年6月1日 初版発行 『ボイジャーに伝えて』が面白かったので、他の駒沢さんの作品を図書館で検索したら出てきた本を借りて読んでみた。 megureca.hatenablog.com 感想。なるほど、うん、これも面白い。読み始めてすぐに、登場人物に興味を持たせるのがうまい。この人たちは一体どういう人で、どのような関係なのか?そして、話がどう展開するのだろう?と、ひき込まれる。 そして、感じたのは、駒沢敏器という作家は、人と人との距離感の難しさとか、人が内面に抱えているものとか、そういったものをごく日常の生活の中に表現するのがうまいんだな、ということ。だから…
最近旅行というものの本質を考える機会があった。旅先で観光を楽しみ、ご当地グルメに舌鼓を打つのはリフレッシュや地方の経済振興にとても有意義なことだと思う。一つ考えるきっかけになったのは、井出明の『ダークツーリズム』を読んだこと。華やかな観光地を楽しみつつ、その地の悲しみの歴史に触れることは、より深く土地を知る充実感を感じられるだろう。 ただ少し踏み込むと、自分は観光=経済が潤うと考えていたが、観光業単体では、それほど経済に寄与するわけではないこと知った。例えば沖縄を見れば明白だろう。多くの観光客を集めても給与水準は低く、生活保護の受給率も高い。また観光業は基本的に肉体労働で、得られるスキルも多様…