眼鏡堂書店の蔵書より、独断と偏見に塗れた”もっと読まれてもいい本”を紹介しつつ、全力でニッチな方向へとダッシュする【眼鏡堂書店の本棚】。 今回紹介するのは、澁澤龍彦の小説『高丘親王航海記』です。 高丘親王航海記/澁澤龍彦 澁澤龍彦は昭和3年東京生まれ。小説家のほかに、エッセイスト、フランス文学を中心とした翻訳家としても知られています。なかでも有名なのは、マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』の翻訳。この作品が猥褻文書に当たるとして10年にわたる裁判(サド裁判)となりました。その後連作短編集『唐草物語』で泉鏡花賞を、本作『高丘親王航海記』で読売文学賞を受賞。昭和58年に死去。 一般的な文脈では有名でな…