京都表具業組合事務所内に置かれた美潢界社が発行していた『美潢界』(びこうかい)については、「『美潢界』第15回表展号(大正13年)を買ったら、よりによって国会図書館がその号だけ持ってた… - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。私の投稿が切っ掛けとなったかは不明だが、同誌の全貌に迫る論文が出ました。並木誠士編『近代京都の美術工芸Ⅱ:学理・応用・経営』(思文閣出版、令和6年7月)所収の多田羅多起子「表装界が迎えた近代ーー京都表具業組合誌『美潢界』を読む」である。 多田羅論文300・301頁によると、長期連載を軸に『美潢界』の刊行期を分類すると第1期(大正7年~大正10年頃)、第2期(大…