並木誠士編『近代京都の美術工芸Ⅱ:学理・応用・経営』(思文閣出版、令和6年7月)は、高木博志先生の「寿岳文章と向日庵本の時代」を始め、私好みの論文が多くワクワクしながら拝読している。更に手持ちの史料で補足が書ける論文が幾つかあって、既に幾つか投稿したところである。今回も頼まれた訳でもないのに、岡達也「図案の語義と概念の展開に関する研究ーー明治期の美術・図案雑誌を中心として」に補足しておこう。 明治35年に結成された京都図案会の機関誌『京都図案』に関する部分が対象である。 ・先行研究として、平光睦子『「工芸」と「美術」のあいだ:明治中期の京都の産業美術』(晃洋書房、平成29年3月)所収の「「図案…