『北の国から』(1981-82)の名場面はそれぞれの人の心の中にあるであろうが、私は脇役の大滝秀治(1925-2012)の場面を挙げたい。主役の五郎(田中邦衛)、純(吉岡秀隆)、蛍(中嶋朋子)の演技が活きるのは脇を固める数々の名優の演技があってこそだと思う。 大滝演じる北村清吉は主人公黒板五郎の年上の従兄弟で、息子で唯一、富良野に残っている草太(岩城滉一)と共に苦しい共同牧場を営んでいる。大滝の演ずる名場面はいくつかある。ドラマ終盤で、五郎の別れた妻令子(いしだあゆみ)の葬式に五郎が遅れてやってきて、すぐ戻ったことに令子の伯父(梅野泰靖*1)や親戚が陰口を言うのを「それは、違うんじゃないですか…