極東に浮かぶ島国という、地理的事情が無性に浪漫を掻き立てるのか。ヨーロッパの天地に於いて日本国とは永いこと、半ば異界めくような興味と好奇の対象だった。 需要に応える格好で、近代以前、西洋人によって編まれた日本の事情を伝える書物は数多い。 『日本西教史』もそのうちの一部であったろう。 一六八九年、仏人ジャン・クラッセの編纂に成る。出版から二世紀隔てた一八七二年、元号にして明治五年。当時の駐仏公使たる鮫島尚信が本書の存在を認識し、内容に魅力を覚えたことが邦訳へと繋がった。 (Wikipediaより、鮫島尚信) 出逢いについてはパリの街を散歩中、たまたま寄った古本屋の一角でうず高く積み上げられてた塔…