黒木登志夫は、東京大学および岐阜大学の名誉教授で、がん細胞の研究が専門。岐阜大学では学長、そして日本癌学会の会長も務めるなど、日本の医学会のドンの一人と言って良い人物と思われる。本職のがん以外にも医学や研究に関する一般向けの本をいくつか執筆しており、啓蒙活動にも意欲的な人物。 本書は一般人に医学の最先端の実情を見せてくれるものすごく良い本ではないだろうか。2015年刊行なので、進歩著しいこの分野では内容が古くなってしまっている箇所も多いだろうが、多くの原著論文を参照し、また山中伸弥先生を始めとして国内の多くの研究者にインタビューも行って書かれた意欲作である。 iPS細胞ができるまでの医学のあゆ…