人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)。
ES細胞(胚性幹細胞・Embryonic stem cell)と同じように、さまざまな細胞への分化が可能で、再生医療・創薬への応用が期待されている。難病患者からiPS細胞を作って解析すれば、発症原因や治療の糸口も見つかるかもしれない。
iPS細胞の「i」だけが小文字なのは、多くの人に親しんでもらえる様に米アップル社の「iPod」をまねて命名されたためであるというエピソードは有名。
体細胞(皮膚組織のものなど)に特定の遺伝子を導入することでiPS細胞へと変化させることができる。
iPS細胞が画期的なのは、受精卵を利用せずに得られる万能細胞であるため、ES細胞の持つ倫理的問題を解決できるのではないかとして期待されているためである。(参考→ES細胞)
また、患者自身の細胞から作ることができるので、iPS細胞から分化した細胞を患者に移植しても拒絶反応が起きにくいと考えられるからである。
iPS細胞を得るためには癌を誘導する遺伝子を組み込む必要があるため、細胞の増殖を制御できるのか、つまり癌化を防げるのかという点が問題となっている。
その他、ES細胞の倫理的問題点を解決できるとされるiPS細胞であるが、iPS細胞から精子や卵子を作りだす研究も進展しており、新たな倫理的問題が生じているとも考えられる。
京都大学の研究チームがマウスのiPS細胞、ES細胞から精子を作り出すことに成功。作られた精子による受精、出産にも成功していた。
iPS細胞、ES細胞から生殖能力のある卵子ができたのは初。